思い出のパンダ推理傑作選を覚えてますか?

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本、漫画 2011.02.16 09:00 Posted by ペニーウェイ™





私は幼い時から唯一推理小説が好きだった。クラスの友達が盛んに名作童話を読む時、私は推理小説を読んだ。 一番最初に読んだ推理小説が何かは思い出せない。 おそらく今まで心の中に大きい影響を与えたと考えられる「奇岩城」や「バスカヴィルの犬」のどちらかではないかと思うが、とにかく、それは重要なのではなく、要は私が途方もなく推理小説をたくさん読んだということだ。 盛んに推理小説にマニアックな執着を見せた国民学校(当時は小学校でなく国民学校だった)6年生の時代、担任の先生があいつは大きくなって何になろうとして、あのように推理小説ばかり見るのかと、私の激しい偏食体質に対して一声投げかけたりされた。 (犯罪者になるのではないだろうかと憂慮されたのか? それなりに模範生であったのに.. -_-;;)
しかし、実際には推理小説の素材は何だろうか。主に盗難事件または殺人ではないだろうか。率直に言って、青少年にあまり適した素材ではないわけだ。 こうした時、青少年たちも見られるように表現を変えて、適度に内容をうまく編集した文庫版推理小説があった。 それが桂林文庫の「少年少女推理名作」シリーズとヘムンで出版した「パンダ推理傑作選」である。 特に桂林文庫とは異なり、ヘムンのパンダ推理傑作選は漫画を利用したイラストが入ってさらに読みが容易になって、私のような推理マニアにとっては必見のアイテムとなってしまった。 毎月もらった小遣いを全部パンダシリーズを買うのに注ぎ込んだほどだ。


今はその時買って集めた本は跡形もなくなってしまったが、時間が経って大人になってから、私は衝撃的な事実に接するようになった。 その頃そのようにおもしろく読んだパンダ推理傑作選が、日本のあかね書房で1973-1976年の間に出版された推理探偵傑作シリーズを版権なしで翻訳した作品であったことをである。 さらに、桂林文庫のそれと韓国出版公社の世界名作推理文庫版も状況は同様であったことを。これからその興味深い話をちょっと書いてみたい。


初めのパンダ推理傑作選は1巻「名探偵ホームズ」から25巻「ジキル博士とハイド」まで出版されたが、数年後には合計50冊まで刊行されたシリーズだ。 とても長い期間販売されただけに、カバーデザインと書体なども少しずつ変化した。初期は帯が黒く対話体も引用符ではなく、カッコで表記されたが、 時間が経つにつれ、赤い帯で表示がはるかに容易な明朝体フォントに変わり、対話体も引用符が使われるようになった。

旧版        新版
旧版 新版


子どもの頃から一つ疑問だったのは1〜25巻までの初版が発行された後、残りの26〜50巻までの発売時期はかなり長いブランクを置いているという点であった。 なぜこのように長い期間、残りの分が発行されなかったのか?驚くべきことに、日本のあかね書房の推理探偵傑作シリーズは、国内で主に発刊された25巻までで終りである。 では残りの50巻までの25冊はどこから来たのだろうか?それがまさにヘムンという出版社の恐ろしい底力だ。 模倣はすぐに創造の母としたのか?珍しくも26冊からの本は元の25巻までの作品と形式面ではほぼ同じだが、詳しく観察するとイラストに漫画の特徴である吹き出しを全く見ることができないという点を発見することになる。 絵のスタイルもなんとなく変化した。これは26〜50巻までの2次発行版パンダで自主的に作り出した翻訳本であることを推測することができるだろう。


子どもの頃持っていた第二の疑問も大人になって解決された。 事実、当時パンダ推理傑作選と同じ時期にクムハ出版社というところでヘムン出版社のものと順番が違うだけで同じラインナップの世界推理探偵傑作シリーズを出版していたことである。 実際の内容と実例も同一で子ども心にもこの謎な事件は何か曲折があると推測したが、これは、不正盗用の結果であったことは、当時は想像もできなかった。
ついでにパンダ推理傑作選とクムハ世界推理探偵傑作を比較してみよう。 作品は「エジプトの十字架の秘密」というエラリー・クイーンの代表的ベストセラーだが、作品をご覧になった方は、ご存知の通り、犯罪の手口が少し残酷な側面があり、二つの版本の間には顕著な違いが存在する。
まず、表紙を比較すると、デザインは同じだが、色が異なっている。 (比較に使用されたヘムン版は初期版ではなく、最後に出版された版本である) 面白いのは翻訳の名前なのに、ヘムン版は韓国推理作家協会になっており、クムハ版はクムハ推理小説研究会となっている。 誰なのか日本語をよく学んでせいぜい海賊版の翻訳に使ったことを考えると、感謝の気持ちで涙で前が見えない。
日本版 盗作版 (ヘムン版, クムハ版)


次に、表紙を一枚めくってみよう。ヘムン版にはいつものように韓国のミステリークラブ会長と主張する(そのようなクラブがあるのか​​もしれないが)イ・カヒョン氏の推薦のことばが出ている。 たぶんヘムンの無断盗用に深く関与したものと推定されるが、その点については少し後で説明することにして、 一方のクムハ版には、シリーズのリストが載っているが、特異なことにもヘムンで出版されなかった江戸川乱歩の「少年探偵団」 、「妖怪博士」、そして「透明人間」がラインナップに含まれていた。 (おそらくヘムン版との差別性を置くためであるように)
ヘムン版 クムハ版


裏面を見ると、ヘムン版は、日本のオリジナルと同じデザインになっているが、クムハ版は、全巻で同じイラストを印刷しているが、まさに「怪盗紳士ルパン」に掲載されたイラストである。
ヘムン版 クムハ版


もう一枚めくってみると、カラーになった紙面が出てくるが、ご覧のように若干の違いがある。ヘムンとクムハが互いに左右を逆になるように印刷した。 残酷な殺害現場の削除処理を二出版社が互いにどのように違ってたのか直接確認してみてください。
ヘムン版 クムハ版


今本編に入ってみると、ヘムンとクムハの版本の差がさらに目立つ。ヘムン版は日本版のイラストをほぼそのまま100%使用したのに対し、クムハは削除したイラストが多い。
ヘムン版 クムハ版


次は、2版本とも同様に掲載されたイラストだが、各社の翻訳が若干異なっている。
ヘムン版 クムハ版


同様に掲載されたイラストであってもヘムン版とクムハ版が少し違う。ヘムン版はご覧のようにフルサイズで印刷されたのに対し、クムハでは半分切って印刷する式の方法を頻繁に使用する。
ヘムン版 クムハ版


このシリーズの特徴は、本編が終わった後、必ず作品紹介が出てくるという点だ。 事実別の見方をすれば、この作品の紹介こそ映画のサプリメントに該当する作品の背景知識に対する貴重な情報を含んでいるが、 クムハ版は、クムハ推理小説研究会で訳者を紹介したが、ヘムン版には韓国推理作家協会会長イ・カヒョンに紹介されていて、あたかもこの内容をイ・カヒョンさん本人がコラムで書いたように巧妙に包装した。 これがヘムンの無版権出版にイ・カヒョンさんが何らかの形で関与したという推測が可能な理由だ。
ヘムン版 クムハ版


この他にもパンダ推理傑作選についての興味深い点が多くあるが、紙面上全部紹介するには分量が少し多い関係でこの点は続く2部で説明するようにする。

- 第2部 -





前回1部に続いてヘムン出版社のパンダ推理傑作選の話をもう少ししてみよう。
興味深い事実の一つは、たとえパンダ推理傑作選が日本の推理探偵傑作シリーズをそのまま書き写した海賊版であっても、それなりのオリジナリティを追求した痕跡を見ることができることだ。 その中で最も顕著なのが3巻「ABC殺人事件」編だ。まず、日本版とヘムン版を比較してみると、表紙のイラストから違いがある。

盗作版 (ヘムン版) 日本版


そして本文に使用されたイラストもすべて新たに描いた。次の序盤イラストを比較してみよう。
盗作版 (ヘムン版) 日本版


なぜこのように唯一「ABC殺人事件」の場合のみオリジナルとは異なり、新たにイラストを描いて入れたのかについては、謎である。関係者だけが答えを知っているようだ。
さてパンダ推理傑作選シリーズ以外の作品について、しばらく言及する。 ご存知の方は、ご存知の通り、50巻にされたパンダ推理傑作選のほか、いくつかの種類番外シリーズを出したことがあるが、その中で代表的なものが「世界名探偵44人」と「世界の偉人は名探偵」という本である。
まず、「世界の名探偵44人」を見てみよう。この本は、単純に少年文庫では、信じられないほど素晴らしい構成を見せてくれた、いわゆる探偵百科事典だったが、やっぱり日本の藤原宰太郞が書いた本を無断でコピーした海賊版であった。


この本の初版は、元の原作者の名前とイ・カヒョン氏の名前を一緒に記載して、原作と同じ表紙とタイトルである「世界の名探偵50人」として出版された。 あまりにも原版と同じで段落も縦に書いてあったが、残念ながら初版はすぐ絶版となってしまう。理由は、この本に含まれている探偵6人の国籍が日本だったからだ。 当時タブー視された日本文化政策の社会的雰囲気を考えると納得がいく。


そこで再版されたのが「世界の名探偵44人」である。この本からは日本の探偵6人が抜けている(金田一や明智のような探偵は抜けているが、鬼貫警部はそのまま載っている-_-)、 本のどこにも藤原宰太郞の名前を見つけることができない。文字通り海賊版になってしまったのだ。それでもこの2冊の本は、現在手に入るが、非常に大変な貴重本に属する。 日本では、続世界の名探偵50人も出版された形だが国内には入らなかった。


国内には出版されていない、続世界の名探偵50人

その次に有名な本が「世界の偉人は名探偵」という本である。これも藤原宰太郞が原著者として、偉人が各事件を一つずつ解決するエピソードで構成された本だった。


当時不思議だったのは偉人たちのリストにマリリンモンローが含まれていたとのこと。 この事実だけでも不思議だったが、事件自体がシャワー室で裸で死んでいる女性のイラストが含まれていて、内心幼い気持ちにきまりが悪かったことを思い出す。 (それほど私はナイーブだった。今もでも...フムフム)


他にもネロ、ヒトラー、レーニン、マタハリ、アイヒマンのような人物も載っている。当時の基準でどのように審議に合格したのか疑問。(これらは絶対「偉人」と言うのだろうか!)
この本も、最近保存が困難な本の一つだが、意外に知らず知らず、いくつかの版本が存在する作品でもある。 1994年ドゥレ出版社から、「論理で読み解く偉人たちの推理ゲーム」というタイトルで再出版されるが、原作から日本人を除いたヘムン版より人物の数をさらに減らして36人にした削除版である。 もちろんこれも絶版とされ、現在では手に入れるのが難しい。ヘムン版と異なる点は、原作者の藤原宰太郞の名前がそのまま出てくるということ。
論理で読み解く偉人たちの推理ゲーム(ドゥレ出版社)
ヘムン版 ドゥレ版
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この本の別の版は、ユジン出版社の「名探偵になった世界の偉人たち」と同じ会社の再版本である「挑戦!名探偵になった世界の偉人たち」である。 児童図書に変貌して、現在も販売中とか、興味のある方は、一冊購入し見ても構わないようだ。


今の思い出の断片が、子どもの頃なり、豊かな推理文学の場を設け、与えることだけでヘムン出版社をはじめとする大手の海賊版出版業界に感謝を...(いや、これはないが;;;;) 現在ヘムン出版社は、故人となった社長の後に続いて、その嫁が事業を引き継ぎ、何人かの女性職員と一緒に継続して推理小説を出版する事業を行っている。 一昨年からパンダ推理もの作戦の一部を復刊して「パンダミステリー」というタイトルで、再出版しているが、まだ8巻までしか出てこないことで見ると、販売量も低迷して、すべての著作関係も障害になっているのではないかと思う。

日本版 ヘムン旧版 ヘムン復刻版
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